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グラホ(敢えて当時の言葉のまま使わせていただきました。)は精神的に強くなくてはならない。
いつも自分にそのように言い聞かせて仕事をしていました。
これは、私が入社してやっと仕事を覚え始めた頃のお話です。
前のエピソードでもお話し致しましたが、私は学生の頃に留学をしておりました。
英語を勉強しようと気合十分で旅立ちましたが、言葉の壁は厚く、街に出て買い物をする事も一苦労で、
普通の生活をする事も大変でした。
でもなにより辛かったのは、学校に行っても友達が全くできず、また誰にも話かける事もできず、
誰も話かけてもくれませんでした。
そんな中、ホームステイ先の父親代わりのビルが、「あひるの笑顔は人を幸せな気持ちにするよ。笑顔を忘れないで!」
と落ち込んでいる私に優しく言ってくれました。
「そういえば私。。。最近、暗い顔してるな。。。」自分でもそう思っていました。
その日以来、私は変わりました。言葉が通じなくてもビルが言ってくれた”笑顔”を忘れない!
すると不思議な事に友達もだんだん増え、生活するのが楽しくて楽しくて、仕方なくなりました。
私の他にも何名かの学生が同じようにそちらのお宅でお世話になり、生活を共にしておりました。
夕食時には皆で学校の事や、週末に出掛けた時の話、などなど,話をしたりして、楽しい時間を過ごしました。
夕食が終わると、よくジョアンナ(夫婦の奥様のお名前です☆)はリビングでピアノを弾き、
私たちはピアノの音色に合わせて歌を歌ったりしていました。
また時には、将来の夢についても語り合ったりもして・・・。
私は『航空会社に入って色々な人と出会いたい!そしてこんな仕事をしていきたいの!』
と拙い英語でビル夫婦に話していました。
『それはとても良いお仕事だね!あひるに合っているよ。笑顔と今の気持ちを忘れず、頑張って!』
そういって私の話を聞いてくださり、励ましてくれました。
そしてあっという間に時は流れ・・・ついに帰国の日が来てしまいました。
空港まで見送りにきてくれたハウスメイト達と泣きながら笑ってお別れを言い、
ビル夫妻にアメリカの地でどんな貴重な経験が出来たか、お礼とお別れを言いました。
ビルは『前にあひるが話してくれた夢、きっと叶えるんだよ。その時にはちゃんと笑顔で頑張ているのか、
必ずあひるに会いに日本に行くよ!』と再会を約束する言葉をくれました。
私は一生忘れる事の出来ない、貴重な体験をしたのと同時に”笑顔”の大切さを教えてもらいました。
帰国をして日本の学校も卒業し、いろいろありましたが、晴れて地上職としてのお仕事に就く事が出来ました。
就職が決まり、ビル夫妻に連絡をすると、電話の向こうでとっても喜んでくれた事、今でも覚えてます。
そんなある日、グラホとして空港で走り回っていた時、突然先輩から「あひるちゃんあてに、お客様が見えてるわよ。」
とカウンターの横を見ると・・・・そこには、ビルと、ジョアンナの姿が・・・・
とっても、びっくりして、カウンターから飛び出しました!
ビル夫妻とは、約一年ぶりの再開でした。
ビルは、「あひるの笑顔を見に来たよ!」と、笑顔で言ってくれました・・・・。
私は嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。
その後、ビル夫妻とお食事をし、昔話から、今の仕事の事など、話題は尽きませんでした。
それから、毎年、夏、冬とビル夫妻はわざわざ、日本まで遊びに来てくださいました。
私は、その時が待ち遠しく、「そろそろだな〜(^o^)/」と、その時期になると、無性に嬉しくなりました。
ある夏の暑い日の事です。「あひる!コンニチワ」とジョアンナの声がしました。
「こんにちわ!元気だった〜??」「荷物重かったでしょう?」「なにが食べたい?」「プレゼント買ったんだよ!!」
気持ちがはしゃいでる自分がいました。
「あれ?ビルは?トイレ?」
すると、ジョアンナが悲しそうな顔をして、ゆっくりと言いました。「ビルは、3ヶ月前に亡くなったの。
今年もあひるの笑顔を見に行くって頑張ってたんだけど、病気には勝てなかったのよね・・・。」
意味が分かりませんでした。目の前が真っ白になり、なにも考えられませんでした。。。
しばらくして、やっとジョアンナが言った事を理解した時、私は、制服のままなのに人目も憚らずに泣いてしまいました。
人前であれほど涙を流して大声で泣いたのは初めてでした・・・・・
ビルが亡くなった事、ビルの気持ち、ジョアンナの気持ち、留学してた時の思い出、二人の愛の深さとか・・・
色々な気持ちがこみ上げて。
そんな私を見兼ねて、先輩が後ろの事務所に連れて行ってくれました。
しばらく泣き続けたあと、飛行機が見えるところに行っていました。
その場所で、いつの日か、ビルが言った「あひるの笑顔は人を幸せな気持ちにするよ。笑顔を忘れないで!」
あの言葉を思い出していました。
”がんばる!笑顔でがんばる!!笑顔を忘れない!!”そう自分に言い聞かせて、仕事に戻りました。
その時の、真っ青な空に、真っ白な飛行機が飛んでいく・・・見慣れた光景が、いつもと違って見えて。
今でも心に強く焼き付いています。。。