あれは私が入社して3年目だったでしょうか。
旅に不慣れな感じの老夫婦がフラ〜っとカウンターにいっらっしゃいました。
「この飛行機で長崎までいくんです。」とても上品な感じのおじいちゃまで
こちらが自然と笑みが出てしまう・・・といった方でした。「かしこまりました。長崎ですね。」
お客様から航空券をお預かりし、確認をすると・・・
「あれ?今日は何日?ん?!これ昨日のチケット!」
念の為、その日に新しく予約がないか・・・などなど考えられる全ての事をしたが
やっぱり昨日・・・。
その旨をお伝えしました。長崎でのお宿、その先の離島への旅行などすべてが決まっており
大きなお荷物もかかえたご夫妻は肩を落とされてしまいました。
シルバーの割引の航空券だったので、その日のご予約変更も出来ず、お払い戻し後
新しく正規で買いなおし・・・という事になってしまう。なんだかとても気の毒でした。
私はやってはいけない事をしました。「私が誤案内をしてしまったと上司に相談しよう」と。
そして上司には私のミスで・・・と話、特別にその日に使えるようにしてもらいました。
「私だけの胸にしまっておこう」ご夫婦には「本日空席あるのでご用意しますね」とだけ言い
なにもなかったように手続きをし・・。本当は絶対だめな事。
後で自己嫌悪に落ち込みました。数日後その老夫婦からお手紙が届きました。
私は名刺もお渡ししてなかったのですが、名札のお名前を覚えていてくださったのでしょう。
内容は、その日の長崎便に乗れたおかげですばらしい旅ができました
というような内容から始まり、お写真や旅の日記、そしてご主人は執筆もされていたようで
出版されたばかりのご本も送ってくださいました。
ご主人は旅先での人とのふれあいをとても大切に、そして生き甲斐にされているご様子でした。
「毎年家内と必ず飛行機に乗り、旅行をしています。今回ご無理をいい
旅を続けさせてもらい、生涯思い出に残るすばらしい旅をする事ができました。
御社をいつも使わせてもらっておりますが、いつも親切にしていただき
感謝の言葉がありません。本当にありがとう。また必ずお会いできる事楽しみにしております・・・。」
私がした事はいけない事です。もちろん。
色々なお褒めのレターをいただきましたが、こんなに心のこもった暖かいお手紙は初めてでした。
なんだか私は涙が止まらなくなってしまって・・・。あの老夫婦に出会えたお陰で、私の何かが変わりました。
「接客ってとても奥深い。こんなに感動を与えてもらえる仕事はないな。」
仕事の不満が溜まりつつあった当事、改めて自分の仕事の大切さを考えさせられました。
今でも当事の感動は昨日の事のように覚えています。
感謝されるのは私ではなく、こんな気持ちを思い出させてくださった
あのご夫婦に心から感謝の気持ちで一杯です。